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Channel: 夕焼け金魚 
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この街の動く石

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デスバレーの動く石と同じように、この街にも大きな石が勝手に動いているというのです。
「へぇ、どこにあるの」と聞くと「石動山ってあるでしょう。あそこの麓にあるそうです」というのです。
石動山は高さ564mの山で、古くは「いするぎやま」又「ゆするぎやま」と呼ばれた信仰の山であります。
その名の由来は、伊須流岐比古神社の境内に鎮座する動字石(天漢石)にあります。
「石動山縁起」では、この動字石が天から落ちて山が揺れ動いたため、石動山と名付けられたと記しています。
石の横には「天より星落ちて、石となり、天漢石と号す」
要は隕石が落ちて山が動いたから名付けられたという物ですが、実際には隕石ではなく安山岩だそうです。
ところがその山の麓に、今でも石が山を登ると言う噂があるのです。
願い事をして祠に石を置いておくと、願い事が叶えられる石は山に向かって動くというのです。
私が聞いたのは女子大生ですから、どうしても願い事は恋愛関係になるのですが、別に恋愛に限ったわけでは無いそうです。
年末になると受験のお願い石がうずたかく置かれているのだそうです。
そんなに多くの石が積まれていたら、自分の願いが叶うかどうか分かるのでしょうか。
「大丈夫なの。石には目印のために墨で模様とか名前とか自分の物だと分かる印を付けておくの」と言うのです。
「そうすると、山のどこかに登っていくというの」と聞くと「頂上付近の祠にあったら願い事が叶うらしい」と言うのでした。
石動山の由来としては天から石が落ちてきて山が揺れたからと言うより、石が動いて山を登る方が由来のような気がします。
石動山の近くの図書館で由来に着いて書かれた本を見せていただきました。
その中に明治の頃に山の由来を調べた方の資料があって、やはり麓の神社に石が動いて山に登ったのが由来だとありました。
拳大の石に願い事を書いて祠に置いたところ、石が山に登っていったというのです。
祠から無くなって半年後に山の頂上付近に作られた祭壇の中にその石があったというのです。
本当に不思議なことがある物だと記されていました。

そこで私も願い事を書いてその祠に置いておくことにしました。
もちろん、目印は金魚マークです。
願い事ですか、それは秘密です。

本当に石が山に登ることがあるのか?
普通は無いですよね。
でも、昔だと少しは動いた可能性はあります。
じつはこのあたりでは高価な墨石ではなく、イカ墨を墨汁代わりに明治頃には使っていたという記録があるのです。
山でイカ墨の臭いで野犬が咥えていったと言うことがあったのかもしれません。
そうして山の麓あたりに置かれると、この石動山は修験道の修行の山だったので、修験者が懐に入れて頂上まで持って行ったのかもしれません。
白山では山に登るときは小石を持って登ると事故に遭わないとか言いますから、この山も同じようなことがあったかも。
拳大の石というのは、修験者の方が持って登るのに手頃な大きさなのです。
手頃な石が登山道にあったら、頂上まで持って上がられる可能性は高くなります。
もって上がる人はそんな目印なんか気にしないと思いますから。
そんなところが事実なのではと思いながら、金魚も目印の石がいつか頂上にあったら、飛び上がって喜ぶかも。
でも、知らないところで本当に石が登っているのかもしれません。
そう思った方が夢があるかも。


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